インデックスファンドに投資していると、株価が下落した時に買いたくなることはありませんか?
投資信託だと基準価格の反映にタイムラグがあり、下落したタイミングで買うのが難しいです。
現物株のように取引できるのはないの?
ETFを利用すれば、現物株のように時価で取引できます。
しかし、外国株式に連動するETFは、ドル転が必要なことが多いです。
円で買えるETFはないの?
米国株式(S&P500)なら、円建てのETFが存在します。
取引が簡単で配当金もあります。
円建てETFと投資信託、どちらがいい?
僕の結論としては、
となります。
円建てETFは、面白い商品ですが中級者向けだと思います。
投資経験の少ない初心者の方は、投資信託でよいでしょう。
銘柄選びの参考になると嬉しいです。
なお、全世界株式の国内ETFはこちらで紹介しています。
投資信託との違い
代表的なS&P500連動の投資信託と、円建てETFを比較してみましょう。
商品の比較
商品名 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(2558) |
指数 | S&P500 | S&P500 |
純資産額(2023年3月29日時点) | 17970.95 億円 | 388.3 億円 |
設定日 | 2018年7月3日 | 2020年1月9日 |
分配金 | なし(再投資) | あり |
購入手数料 | 無料 | 無料(※) |
信託報酬 | 0.0968% | 0.077% |
信託財産留保(売却手数料) | なし | なし(※) |
取扱証券会社 | 楽天証券 SBI証券 マネックス証券など | 楽天証券 SBI証券 マネックス証券など |
最低購入金額 | 100円 | 時価 |
NISA | ○ | ○ |
つみたてNISA | ○ | × |
iDeCo | ○ | × |
※一部証券会社のみ(SBI証券、楽天証券など)
投資信託とETFの違いをまとめると
リターン(リスク)の比較
直近3年のリターン、リスクを比較してみましょう。
パフォーマンス | eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) | MAXIS米国株式 (S&P500)上場投信(2558) |
リターン(年率)1年 | -5.18% | 8.59% |
リターン(年率)3年 | 23.2% | 20.03% |
リスク(年率)1年 | 21.16% | 22.38% |
リスク(年率)3年 | 19.38% | 18.55% |
シャープレシオ1年 | -0.14 | 0.54 |
シャープレシオ3年 | 1.18 | 1.08 |
どちらも比較的新しい商品ですので、短期的なデータしかありません。
1年のリターンは大きく異なっていますが、集計時期の違いによるものでしょう。
リターンの比較は難しいですが、リスクはどちらも20%前後となっています。
どちらを選んだとしても、年間で20%増減するリスクがありそうです。
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) | MAXIS米国株式 (S&P500)上場投信(2558) | |
2022年分配金 | 0円 | 175円 |
2021年分配金 | 0円 | 105円 |
2020年分配金 | 0円 | 90円 |
ETFの特徴は分配金が出ることです。
逆に投資信託は分配金がでません。
MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(2558)の分配金利回りは約1%程度です。
半月に1度(6月と12月)半分ずつ支払われます。
S&P500連動ETFの比較
S&P500に連動する円建てのETFは何種類かあります。
ここでは、以下の3つの円建てETFを比較します。
基本情報の比較
商品名 | NF S&P500 | MAXIS米国株式 (S&P500) | iS S&P500米国株 |
指数 | S&P500 | S&P500 | S&P500 |
純資産額 (2023年2月28日) | 60.78 億円 | 392.81 億円 | 480.13億円 |
上場日 | 2021年03月31日 | 2020年1月9日 | 2017年9月27日 |
信託報酬 | 0.077% | 0.077% | 0.077% |
運用会社 | 野村アセットマネジメント | 三菱UFJ国際投信 | ブラックロック・ジャパン |
購入価格 ( 2023年3月30日) | 245,954円 (100口) | 15,375円 (1口) | 383,835円 (100口) |
信託報酬は横並び、各社がそれぞれの商品を意識しているのでしょう。
最低購入価格には大きな差があり、MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(2558)が一番買いやすいですね。
リターン(リスク)の比較
NF S&P500 | MAXIS米国株式 (S&P500) | iS S&P500米国株 | |
1ヶ月 | -1.54 | -1.55 | -1.52 |
3ヶ月 | 4.86 | 4.87 | 4.95 |
6ヶ月 | 1.92 | 1.96 | 1.95 |
9ヶ月 | 3.28 | 3.32 | 3.40 |
1年 | -4.63 | -4.62 | -4.56 |
2年 | 25.50 | 25.36 | 25.55 |
3年 | -- | 102.56 | 102.82 |
5年 | -- | -- | 103.90 |
年初来 | 4.86 | 4.87 | 4.95 |
設定来 | 26.03 | 59.28 | 104.84 |
ほとんど同じですね。
直近は米国の利上げの影響でマイナス。
過去3年では2倍以上になっています。
3年で2倍ということは、、、
年率20%I?
まるで詐欺のような利率ですね。
ここ数年、米国株が絶好調だったことがわかります。
分配金の比較
NF S&P500 | MAXIS米国株式 (S&P500) | iS S&P500米国株 | |
2023年分配金 | 1,840円/100口(半期) | 未定 | 2,800円/100口(半期) |
2022年分配金 | 3,640円/100口 | 175円/1口 | 3,800円/100口 |
2021年分配金 | 650円/100口(半期) | 105円/1口 | 2,800円/100口 |
2020年分配金 | ー | 90円/1口 | 3,100円/100口 |
NF S&P500 | MAXIS米国株式 (S&P500) | iS S&P500米国株 | |
直近分配金利回り | 1.91% | 1.14% | 1.35% |
分配金利回りには若干の差がありますね。
購入価格と基準日の違いかもしれませんが、どのファンドでも1%強の分配金利回りが期待できそうです。
円建てETFのメリット・デメリット
円建てETFのメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。
メリット | デメリット |
ドル転が不要 配当金が出る 運用コストが低い | 再投資の効率が悪い まとまった資金が必要 |
外国株ETFは、通常、円を外貨(ドルなど)にして購入する必要があります。
円建てのETFは、外貨の購入が不要なので売買が簡単です。
また、株式と同じように配当金もあります。
さらに、投資信託と比較して、運用コスト(信託報酬)が低いです。
デメリットは、配当金の再投資をしようとした場合、
投資信託に比べ面倒で、税金の分だけ効率が悪いです。
投資信託は100円から購入できます。
しかし、円建てETFは10,000円以上のまとまった資金が必要です。
円建てETFの手数料を下げる方法
投資信託よりも低コストな円建てETFですが、さらに運用コストを下げる方法があります。
それが「貸株」サービスの利用です。
「貸株」を利用することで実質手数料をもっと下げることができます。
「貸株」は、文字通り株を貸すサービスです。
株(ETF)を貸すことで金利を受け取れます。
株(ETF)を貸したら配当金はどうなるの?
配当金も「配当金相当額」として受け取ることが可能です。
ただし「貸株金利」「配当金相当額」は、雑所得の扱いとなります。
確定申告が必要になるので注意してください。
サラリーマンでも、雑所得が20万円を超えたら確定申告が必要です。
確定申告を行わないのは脱税
脱税は立派な犯罪
仕組みがよく分からないの場合、「貸株」は止めましょう。
円建てETFは、どんな場合にオススメか?
円建てETFは、投資信託よりも低コストで運用可能です。
「貸株」を使えば、実質コストをかなり抑えられます。
また、配当金がもらえるのも嬉しいポイントです。
インデックス投資だと「投資しているという実感」がありません。
生活が変わるわけじゃないし
つまらないなぁ
配当金が出ると「投資している感」が出て、モチベーションアップに繋がります。
口座の現金が増えるのは嬉しい
税金の知識があり、確定申告にも慣れている場合、「貸株」や各種控除を利用することで、円建てETFを最大限に活かすことができます。
そのような方は、投資信託よりも円建てETFを用いた方が、低コストで運用できるでしょう。
長期運用なら投資信託
メリットがたくさんある円建てETFですが、
これから始めるなら
投資信託と円建てETF
どっちがいいの?
そう聞かれたら
と答えます。
一番の理由は「ETFは面倒だから」です。
ETFの分配金再投資は自分で行う必要があります。
投資信託なら「分配金の再投資は自動」です。
長期「ほったらかし」を前提とするなら、投資信託でよいでしょう。
また、投資信託は「つみたてNISA」「iDeCo」という非課税口座を活用できます。
利益に対する税金を減らすことができるのもメリットです。
税金のことも考えると
運用コストの差はないかも
円建てETFの運用実績
僕は「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(2558)」を30口保有しています。
たぱぞうさんの動画をみて興味を持ったのがきっかけで購入しました。
値上がり益(キャピタルゲイン)も分配金(インカムゲイン)も得られています。
分配金再投資のことを考えると、効率は悪いです。
しかし、分配金が出るというのは嬉しいもので、生活が良くなっているような感覚があります。
また、分配金は株価が下落している時でも貰えます。
調子が悪い時でも、保有し続けるための精神安定剤にもなっていますよ。
ただ、僕の運用本筋は「投資信託」です。
円建てETFは瞬間的な暴落など、スポットで買いたくなった時だけの購入にしています。
まとめ
円建てETFは、面白い商品ですが、ちょっと難しい側面もあります。
ある程度の知識がついた「中級者向け」という印象です。
このような方は、投資信託でよいと思います。
インデックス投資では「淡々と買って何もしない」というのが重要だったりします。
ETFか投資信託かというのは、そこまで考える必要はないでしょう。
この辺りが抑えられていれば、問題ないです。
投資信託の選び方は、以下の記事でも紹介しています。
ブロガーの間で人気な投資信託というのもあります。
僕自身も、資産運用は投資信託をメインに行なっています。
保有銘柄の運用実績も紹介しているので、銘柄選びに迷っている方は参考にしてみてください。
皆様の資産運用が上手くいくことを願っています。
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